ばいばい

 

 

別れてから3週間。今でも死ぬほど好きだから、死のうと思った。

 

 

「ニコチン 中毒死」、「タバコ ニコチン 抽出」調べたらすぐにたくさんのブログが出てきた。痛くない死に方じゃないと無理だと思ったからこれが一番いいと、彼のせいで知ったタバコで死にたいと思った。

 

 

メンソールの匂いがするニコチンが入ってるのであろう茶色い液体を、適当に作った赤玉パンチと唯一彼に貰ったものであるほろ酔いの缶に混ぜて飲んだ。2つとも半分ぐらい飲み干した頃に次第に指先が痺れてきたのがわかった。彼が好きだと言ってくれたのも抱きしめてくれたのもセックスしたのだってこのベッドの上だった。鍵は開けておいたから綺麗なうちに見つかるといいな、そんなことを考えながらアルコールのせいかニコチンのせいかでぼーっとする中、ベッドに横たわり意識が飛ぶのを待っていた。

 

 

私がいなくなったらあなたは泣くだろうか。報せを聞いた時にどんな顔をするんだろ。別れてから少しでも私のことを惜しいと思ってくれただろうか、別れてからもずっとあなたの事を好きでいてごめんなさい。迷惑だよね。

みんなへの遺書だって便箋2枚にしかならなかったのに彼への手紙は書き終わりそうになかったから中途半端なところで切り上げてしまった。

死んでからもし幽霊になれるなら彼の横にずっとついていたい。私のせいで彼が泣いてる姿や悲しんでる姿が見たかった。私のことがトラウマになって一生恋愛も、他の女の子とキスもしないでいてくれたらいいのに。なかなか意識が薄れてくれない中、彼のことばっかり考えていた。

 

 

 

結局30分ぐらいうんうん苦しみ、残りを飲むかベランダから飛び降りるかを考えた後に我慢できずに吐いて、水を飲んでまた吐いて、馬鹿だな、と死ぬのが怖いのに中途半端なことをした自分の愚かさを嘆いた。ニコチンの苦い液体とメンソールの匂いが充満する部屋で「大阪にいたらだめだ、実家に帰ろう」と逃げる決意をしてから4時ぐらいにようやく寝たと思う。

 

 

 

 

 

そんなこんなで1週間半ぐらいは実家で静養をし、大阪に帰った。休んでいた届けを出すためにほぼ2週間ぶりに学校で会った時に相変わらず彼は何事も無かったかのように接してきたし、私の実家から電話した時に帰省したことは伝えていたけれども私が「帰省してたんです」と地元のお菓子を渡したら「ありがとう」と喜んで受け取ってくれた。

 

久しぶりに彼の顔を見てときめきつつも「良かったね、私が死んでなくって」と内心思っていた。さすがに2週間近く経てば学校、バイト先、友達が私と連絡がつかないことに気がついて私の部屋に来るだろうなと、思い、自殺未遂の次の日にバイトのシフトを入れていたし2日後にはサークルのスタジオの練習も入っていた。部屋の鍵も開けていたから私の予定では死んだ後になるべく綺麗なうちに見つかるはずだった。

そしたら彼への遺書が見つかる。この遺書にはちゃんと彼の名前が書いてあるし私の携帯の中には彼とのLINEの履歴もある。学校に全部ばれてしまえ、私がどれだけあなたを好きだったのか、中途半端な気持ちで手を出してきたことを後悔すればいい。

 

結局彼への遺書は私の手帳の中に入れたままで実家に帰った。毎日することが無く、ぼーっとしつつも何かの手違いで死ねないかと思っていたためとりあえずどれだけ彼のことが好きだったのか死んだ後に証明出来るものを持っていた方がいいと思った。

 

 

 

ここまで書いておいても馬鹿なことしたなとは思っていない。もともと人は簡単に死んでしまうのだから。この記事をアップするまでにまた何度か自分で命を絶とうともしたし事故や病気で突然亡くなる可能性もあるわけだし。

それでも今はできるだけ彼のそばに居たいと思っている。それが彼にとっての幸せではないのだとしても。

 

手帳に挟んだ手紙は捨ててしまったしこの気持ちが死ぬまで続くかなんて誰にも分からないけど、死ぬほど彼のことを好きだった記録がどこかにあればいいなと思ってこの記事を書いた。

もしまた彼と一緒になれる前に死んでしまったらこの記事を読んでくれないかな、なんてそんなことも考えながら。